はうすプロジェクト

心がときめく暮らし方をシェアします。。。

アルベルゴディフーゾって何?

「ガイドブックで特集されているような観光地への団体旅行はもう飽きた」

「その土地ならではのローカルな魅力を発見したい!」

「そこで暮らすように旅してみたい!」

「観光客と地域住民がwin-winになれる仕組みって?」

そんな方へ、イタリア発祥の取り組みである「アルベルゴ・ディフーゾ」について調べたことをシェアします。

 

アルベルゴ・ディフーゾとは

 アルベルゴディフーゾを直訳すると「分散した宿」。小さな集落や村全体をホテルに見立てるイタリア発祥のまちづくりの取り組みです。つまり、本来は一軒のホテルや旅館に含まれていたレセプション、ロビー、客室、レストランを地域の別々の場所に点在させることによって、旅人はそれらを行き来しながら各地域の特徴的な宿に「暮らすように泊まる」ことができます。

1、アルベルゴ・ディフーゾの仕組み

 アルベルゴ・ディフーゾによるまちづくりの構造を説明する際にキーワードとなるのが「水平性」です。アルベルゴ・ディフーゾとは、集落内の空き家を改装してレセプション、ロビー、客室等を近距離内に「水平的」に散在させる宿泊システムです。

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出典:http://www.albergodiffuso.com アルベルゴ・ディフーゾ協会のウェブサイトより 従来のホテル(左)に垂直的に宿泊機能が存在するのに対し、アルベルゴ・ディフーゾ(左)では宿泊施設を集落内の近距離に水平に点在させていることが分かります。

 従来のホテルでは、観光客は街を出歩く必要がなく、レセプションやロビー、レストラン等の機能が「垂直的」に存在しているホテル内にとどまるため、地元住民と触れ合う機会が生まれづらいのが現状です。しかしアルベルゴ・ディフーゾでは、旅人は客室の外に出て地域内のレストランやバール、雑貨店などに出向くため、地域住民との交流が生まれます。それによって地域経済や地域全体が活性化するのです。

2、アルベルゴ・ディフーゾの事業形態

イタリアのアルベルゴ・ディフーゾ協会に登録されている事業形態を見てみると、ほとんどが個人や民間の事業者となっています。その中でも多く見られるのが地元出身で近郊居住者のオーナーです。もともと少なくとも1〜2軒の住宅を所有していたオーナーが、さらに住宅を購入あるいは賃貸することで、10部屋程度の客室を備えている流れが見られます。

3、現在のアルベルゴ・ディフーゾの現状と分布

 アルベルゴ・ディフーゾ協会に登録されている宿泊施設は、2018年4月現在イタリア国内で101軒あり、また登録はされていないもののアルベルゴ・ディフーゾの定義によって作られていると判断されるものを含めると、約150軒ほどが該当します。イタリア全土に存在しますが、特に中部〜南部の地域に多く見られます。画像は2014年の4月時点でのアルベルゴ・ディフーゾの分布を示した地図ですが、中部〜南部の特に過疎地域に多いことが分かります。

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参照:「Distribuzione geografica degli alberghi diffusi-al 30 aprile 2014」 https://www.researchgate.net/figure/Distribuzione-geografica-degli-alberghi-diffusi-al-30-aprile-2014_fig1_285926101

また、近年ではイタリア国外においてもクロアチア、ドイツ、スイス、スペインにも広がっています。日本においては、地域創生や空き家の活用といった地方行政や民間のまちづくりの観点から注目され始め、アルベルゴ・ディフーゾの名前を耳にする機会が多くなっています。

4、 筆者が考えるアルベルゴ・ディフーゾの魅力

⑴「地域住民の暮らしに溶け込んだ」感覚を味わえる

私が魅力に感じるポイントとして、旅人が「地域住民の暮らしに溶け込んだ」感覚を味わえることが挙げられます。旅先に到着しレセプションで受付をすると、近くに住むオーナーが自ら出てきて気さくに近くの客室まで歩いて案内してくれる。鍵を受け取って部屋に入ると、歴史を感じる伝統的な建築に驚く。荷物を置き、集落を探索しようと外に出る。そこで地元の人の集まるバールが目に留まって、アペリティーボを頼んでみる。夜はそこで教えてもらったレストランで、郷土料理やワインを楽しむ…ワクワクしてきませんか?アルベルゴ・ディフーゾはパッケージ化された観光には飽きてしまった私たちが求めるような、まさに「暮らすように旅する」を叶えてくれるシステムなのです。

「地域全体の活性化」を目指せる

 一方で、アルベルゴ・ディフーゾの地域への良い影響も特筆すべきポイントです。もともとアルベルゴ・ディフーゾは集落の「地域全体の活性化」を目的として考案されました。そのため、観光客と地域住民の暮らしが良い関係に保たれることが期待できます。

 従来の観光産業では地域外からの資本を受けた大きなホテルが観光客を囲い込み、宿泊客は食事も観光体験も全てホテルの提携内のサービスで済ませてしまい、地域に落ちる金額が少ないことが問題となるケースが多く見受けられました。アルベルゴ・ディフーゾでは観光客は集落を積極的に出歩くシステムのため、地域内に経済的な利益が多く生まれます。

 また、過度の観光化を防ぐこともできます。フィレンツェやローマ、あるいは日本の京都のように、観光客が増えて外資企業が参入し地価が高騰してしまい地元住民が住めなくなってしまったり、環境が悪化してしまうといった「観光公害」から距離を置くことが可能です。

 このような点から、アルベルゴ・ディフーゾは持続的な観光まちづくりのイノベーションモデルであると言えますね!

5、まとめ

 伝統的な景観を持つ個性的な集落の暮らしを旅人がふらっと覗き見できるような、素敵なモデルであるアルベルゴ・ディフーゾ。地域の「生きた暮らし」を持続させていく取り組みとしても、田舎の伝統的カルチャーを体験できるオリジナルな旅の手段としても、目が離せません!